ウォーキングは体脂肪を燃焼させる有酸素性運動の中では、最も手軽に行え、そして、足腰に負担が少ないエクササイズです。
一人でストイックに颯爽と歩くのもよし、友人と一緒に季節の移り変わりを感じながら歩くのもよしです。
ウォーキングをはじめよう!
ウォーキングとランニングの違いと言えば、片足が地面に着いていればウォーキング、一瞬でも両足とも地面から離れていればランニングと分けることができます。
当然、ウォーキングとランニングではスピードが違いますので足が接地している時間も違います。また、ランニングの場合は接地する瞬間には上体が着地する前足に乗っていることもあり、ランニングはウォーキングに比べて3倍程度の衝撃がかかることになります。
ウォーキングでは体重の1.1~1.2倍、ランニングでは体重の3~4倍の衝撃が足にかかるとされていますので、ウォーキングは身体に負担が少ないエクササイズの一つと言えます。
エクササイズの一つとして正しいウォーキングを行えば、心肺機能の向上やシェイプアップ効果などが期待できます。
年齢や性別に関係なく行えますので、季節の移り変わりを感じる事が出来るウォーキングを颯爽と楽しんでみませんか。
正しい姿勢を身に付けよう。
ウォーキングは身体への負担が少ないエクササイズですが長時間悪い姿勢で歩いていると腰や膝を痛める恐れがあります。ウォーキングの際の正しい姿勢は、
ア.背筋が伸びている。(ただし、反り過ぎない)
イ.肩、骨盤が地面と平行である。
ウ.重心は両足の真中にあることを意識する。
エ.あごを引いて、視線が10~15メートル先を見るよう保つ。
ことです。
正しいフォームを身に付け、歩いてみよう。
腕を90度くらいに曲げ、肩の力を抜いて元気良く腕を振ります。
そうすることによって、身体が自然と前に進み、歩幅も広がっていきます。
最初は普通の速さから(時速4キロメートル)始め、慣れてきたら段々スピードを上げ、シェイプアップ効果の向上を図ります。
肘を下してウォーキングされている方を多く見かけます。肘を曲げ、背筋を伸ばして歩いてこそ、股関節が十分に稼働して、脂肪の燃焼効率も上がってくると思われます。
身体を動かすことに慣れてきたら、息切れが少なくなるとか体重の減少、記録そのものなど運動の成果が気になりだし、また、成果が出るための手法・技法などについても気になりだします。身近にできるウォーキングやランニングを紹介してきましたが、その中[…]
ウォーキングの目安
最初は無理なく、時速4キロメートルから始めてみましょう。
そしてウォーキングに慣れてきたら、どのくらいのスピードで歩いたらよいのか?といった疑問がわいてきます。
話は遠回りになりますが、心拍数の視点から見ていくと、「220-年齢」は、心臓が最高に働いた時の最大心拍数と言われています。そして、最大心拍数の60~75パーセントが運動としての効果的な心拍数と言われていますので、下の心拍数が目標になります。
若 者 120~140
中 年 110~125
高齢者 95~110
そしてこの効果的な心拍数に合致するウォーキングの効果的なスピードの目安は下のとおりです。
若 者 男性:7.2~7.8km/h、女性:5.4~6.0km/h
中 年 男性:6.0~6.6km/h、女性:4.8~5.4km/h
高齢者 男性:4.8~5.4km/h、女性:3.6~4.2km/h
運動はどのくらいの強度で行えばよいの?心臓が最高に働いた時の最大心拍数は「220-年齢」と言われています。そして、最大心拍数の60~75パーセントが運動(「ややきつい」と思える程度)がとしての効果的な心拍数と言わ[…]
ウォーキングを始めた頃は、スピードよりも心拍数の観点から目安を立てた方がよいと思います。
このためにはウォーキングの習慣と併せてウォーキング前後に心拍数を計ることも習慣づけましょう。
なお、厚生労働省の研究班の報告では、
・普段より平均して毎日10分(約1,000歩)多くウォーキングすれば、
⇒糖尿病の発症を10年で3パーセント減少
⇒1年間で1人平均10,950円(30円×365日)医療費抑制効果
・普段より歩数を約1,500歩増やすと
⇒高血圧者に対して収縮期血圧2~3mmHg の低下
の効果があるといわれています。
シューズにもウエアにも拘ったらトレーニングコースにも拘りたいものです。ウォーキングにしろ、ランニングにしろ、最初から長い時間・距離は無理ですので、まず、最初は15分程度で一周できるコースを選びます。距離にしたら1~2キロメートル程度で大丈[…]
1日1万歩
「1日1万歩歩こう!」とよく言われています。
スマートフォンで手軽に歩数や消費カロリーが確認できる時代となった今、「1日1万歩」には、果たしてどういった意味や根拠があるのでしょうか?
多くの場合、当サイトでは、「年齢30歳の女性、身長160センチメートル、体重56.32キログラム、仕事は1日6時間の事務職」をモデルとしています。
まず、この女性の1日の生活を見ると、エネルギー摂取の面では、この女性の1日のエネルギー所要量は、2,077キロカロリーです。(ダイエット等は考慮しないでいます。)
- エネルギー所要量=56.32×21.7×1.7=2,077キロカロリー
※「エネルギー所要量」のページ参照
次にエネルギー消費の面では、この女性が何もせず、じっとしていても生命の維持のために消費するエネルギー(基礎代謝量)は、1,222キロカロリーです。
- 基礎代謝量=56.32×21.7=1,222キロカロリー
※「エネルギー所要量」のページの別表「年齢階層別基礎代謝基準値」参照
そして、6時間の事務で消費するエネルギー量は、488キロカロリーです。
- エネルギー消費量=1.357キロカロリー×60分×6時間=488.85キロカロリー
※「エネルギー消費量」のページ参照
とりあえず、ここまでで余分なエネルギー量は、
- ここまでの余分なカロリー=2,077キロカロリー-1,222キロカロリー-488キロカロリー=367キロカロリー
となります。
「とんでもない!寝ることや仕事以外にもいろいろと家事とか忙しい!」といった声が聞こえてきそうです。
総務省の「2001社会生活基本調査」によると。25歳から34歳までの妻(ここでは既婚者の設定となりますが・・・)の家事の平均時間は、6時間51分(411分)となっています。
長い順からいくと、
(1) | 食事の管理 | 2時間13分 |
(2) | 乳幼児の世話 | 2時間 |
(3) | 住まいの手入れ、整理 | 56分 |
(4) | 買い物 | 47分 |
(5) | 衣類の手入れ | 38分 |
(6) | その他 | 8分 |
(7) | 子供の教育 | 6分 |
(8) | 介護 | 3分 |
となっています。
これらの家事で消費するエネルギー量を計算してみます。
家事における動作の強度は、「料理」が「1.4」、「身支度」が「1.5」、「洗濯」が「2.2」、「掃除」が「2.7」、「雑巾がけ・布団の上げ下ろし」が「4.5」と様々ですので、家事全般の動作強度を「2.0」と仮定して計算してみますと、
- 家事におけるエネルギー消費量=2.0×(21.7÷1440)×56.32×411=697.64キロカロリー
になります。
そうすると、先ほどの367キロカロリーもオーバーしていた余分なエネルギーは体内に蓄積しないことになります。
ただし、身の回りを見渡してみると、簡単便利な惣菜・外食、電化製品の氾濫で摂取カロリーの増加と家事でのエネルギー消費量の減少は否定できませんので、家事と仕事だけで摂取カロリーが蓄積しないかと言われたら、言い切れないところはあります。
1日1万歩に話を戻すと、その根拠は厚生労働省によると、海外(アメリカ)の文献で週当たり2000キロカロリー(1日当たり約300キロカロリー)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されている。歩行時のエネルギー消費量をアメリカスポーツ医学協会が提示する式を用いて計算すると、体重60kgの方ですと、時速4km(分速70m)、歩幅70cm、で10分歩くと都合700m、1000歩となり、消費エネルギーは30kcalとなる。
そこから1日300キロカロリーのエネルギーを消費するためには1万歩が必要である。ことからきているようです。
なるほどです。
- 1日のエネルギー消費量=1日300キロカロリー=100分10000歩
ということですね。
先ほど計算したエネルギー所要量―基礎代謝量―仕事等でのエネルギー消費量のオーバー分=367キロカロリーに近い数値になっています。
アメリカの例では時速4キロメートルの徒歩での計算ですが、実際は職場等での歩行もありますし、エクササイズとしてのウォーキングもあります。
職場とウォーキングを分けて367キロカロリーを消費するためにどのくらいしなければならないのか計算してみます。
まず、自宅でゆっくりしている場合でも2,500~3,000歩ほど歩きますし、仕事をすると4,000~7,000歩(通勤を除く)ほどは歩きます。
事務職で5,000歩程度といわれていますので、職場での歩幅を身長の40パーセント(0.64メートル)、速度も時速4キロメートルとすると、職場での歩行距離と歩行時間は、
- 職場での歩行距離=5,000歩×0.64メートル=3,200メートル
- 職場での歩行時間=3,200メートル÷時速4キロメートル=0.8時間=48分
厚生労働省の「動作強度の目安」の区分、「散歩・買い物でゆっくり歩く(2.2)」で計算していきます。
30歳、体重56.32キログラムの女性の職場での1分当たりのエネルギー消費量を計算すると、
- エネルギー消費量=2.5×(21.7÷1440)×56.32=1.8571キロカロリー
- 職場での消費エネルギー=1.8571キロカロリー×48=89.62キロカロリー≒90キロカロリーになります。
ウォーキングで消費しなければならないエネルギーは差し引いて、
367キロカロリー-90キロカロリー=277キロカロリー
となります。
ウォーキングでの1分当たりのエネルギー消費量を厚生労働省の「動作強度の目安」の区分、「急ぎ足(4.5)」で計算すると、
- エネルギー消費量=4.5×(21.7÷1440)×56.32=3.8192キロカロリー
となり、ウォーキングで277キロカロリーを消費するためには
- ウォーキング必要時間=277キロカロリー÷3.8192キロカロリー/分=73分
73分間歩かなければならないことになります。
時速6キロメートル(分速100メートル)のウォーキングでは7,300メートルの距離を歩くことになります。
ウォーキングの際は身長の50~60パーセントの歩幅を使って行うよう推奨されていますので、60パーセントを採用すると、身長160センチメートルのこの女性の場合の歩幅は0.96メートルになります。
この歩幅で先ほどの歩行距離を割ると必要な歩数が出てきます。
- 73分間の歩数=7,300メートル÷0.96メートル=7,604歩
となりました。
最終的には、ここまでの余分なカロリー=367キロカロリーを消費するためには、日常生活・仕事で5,000歩、ウォーキング(73分間)で7,600歩が必要との計算になります。
何かと忙しい現代人にとって、73分間のウォーキング時間を確保するのは大変です。
通勤を自転車から速歩に代えたり、職場でエレベーターから階段に代えたりのひと工夫で消費エネルギーを増やすことが必要ではないでしょうか。
厚生労働省から「エクササイズガイド2006」が出されました。
これでは新しい指標として「メッツ」という単位が提唱されています。例えば、歩行に関して言えば、
ゆっくりとした歩行 | (54メートル/分未満) | 2.0 |
普通歩行 | (平地を67メートル/分) | 3.0 |
歩行 | (平地を81メートル/分) | 3.3 |
やや速歩 | (平地を94メートル/分) | 3.8 |
速歩 | (平地を95~100メートル/分) | 4.0 |
かなり速歩 | (平地を107メートル/分) | 5.0 |
といった数値(1時間あたり)です。
この際のエネルギー消費量の計算は、メッツ×1.05×体重×時間で計算できます。
「動作強度の目安」においては、「散歩・買い物でゆっくり歩く」と「急ぎ足」の区分しかありませんので、エネルギー消費量を計算する場合は、この新しい単位である「メッツ」を利用しても良いと思います。
ちなみに、1分当たりのエネルギー消費量は、
ゆっくりとした歩行 | 2.0×1.05×56.32÷60=1.9712キロカロリー |
普通歩行 | 3.0×1.05×56.32÷60=2.9568キロカロリー |
歩行 | 3.3×1.05×56.32÷60=3.2525キロカロリー |
やや速歩 | 3.8×1.05×56.32÷60=3.7453キロカロリー |
速歩 | 4.0×1.05×56.32÷60=3.9424キロカロリー |
かなり速歩 | 5.0×1.05×56.32÷60=4.928キロカロリー |
このページは、サイト全体の流れで、以前から使用している「動作強度の目安」を元に計算しています。
そのため、通常の歩行を「散歩・買い物でゆっくり歩く」として区分する一方で、その際の速度、歩幅をそれぞれ時速4キロメートル、身長の40パーセントと「ゆっくり歩く」にしては大きな数値を使用しています。(矛盾しています)
ご自分に合わせて計算してみる際には、新たな指標である「メッツ」の「速歩(3.9424キロカロリー)」と「ゆっくりとした歩行(1.9712キロカロリー)」として時速3キロメートル、歩幅を身長の35パーセントとして考えるのが良いのかもしれません。
このようなことを考えながら、また、計算しながら歩いてもトレーニングになるのがウォーキングの一番の利点だと思います。
スタジオやジムでのエクササイズであれば、季節の変化の影響は大きく受けないものの、屋外でのエクササイズ、スポーツだと一工夫が必要となってきます。ここまでウォーキングやランニングの習慣が折角ついてきたら、末永く続けていきたいものです。[…]