エアロビクスとエアロビック。よく耳にするけど2つの違いって何?

あまり関心がない方にとっては、注意して聞いても区別がつかない「エアロビクス」と「エアロビック」。

どちらも同じ意味じゃないかと思われますが、それぞれに熱中されている方にとっては大きな違いがあります。

エアロビクスもエアロビックも音楽と一体化して身体を動かしますが違いは大きいようです、その違いと経緯は諸説あるようですが歴史も振り返りながらここで整理してみます。

まず、1960年代に始まったエアロビクスは、有酸素性運動として、「十分に長い時間をかけて心臓や肺に働きかけて刺激を与え身体に有益な効果をもたらすことができる運動」として、ランニング,水泳などと同様のカテゴリーで健康づくりを目的として大きく普及してきました。

この段階では健康・体力づくりが主な目的であり,ファッション性も求められたこともありましたが、技術の向上や美的表現を目指すものではありませんでした。

このエアロビクスの特徴としては、さまざまなステップに腕などの上肢運動を組み合わせた全身運動の連続から成り立っており, 一定時間(最低15分 以上) 運動を途切れさせることなくリズミカルに続けることが重視されました。

基本的なエアビクスのプログラムは,時間にすると 1回45~90分で,60分のプログラムが最も多く、一般的には,ウォームアップ(5~10分)で始まり, エアロビクス(20~30分),局所筋力・筋持久力を強化する運動(10~15分),クールダウン( 5~10分)という構成になっており、また,古今東西のダンスや音楽などの要素を取り入れることも許容するなどある程度柔軟性に富んだ自由なフィットネスプログラムでした。

多くの参加者は、自分の体力・趣向に合わせてインストラクターが自由に組み立てたプログラムを選んでレッスンを受けることになります。

そうしてエアロビクスが普及していく中、80年代になると愛好家皆で集いたいとか競争意識も芽生え、地域や全国規模での大会が開催されるようになります。

この大会の大きな流れとして、第1次予選では,リードと言われるインストラクターを模倣しながらステップを中心とした集団での約30分程度のエクササイズを6セット行われ持久力等を審査し、第2次予選では,同じくインストラクターを模倣しながら,ステップに加え,筋力や柔軟性を必要とする動作を組み込んだエクササイズを行い技術力を審査。決勝では,個人演技として表現力を審査していました。

このような形でのエアロビクスの競技会は順位を決めるための大会といった意味合いとお祭りとしてのサバイバルエアロビクスとしても多くの参加者を得ていたようです。

90年代になるとこの個人演技部分が発達した形で美しさや難易度を追求するエアロビックが競技として発生していきます。

これまでのような有酸素性運動としてのエアロビクスからエレメント(難度要素)を組み込んだ体操競技としてのエアロビックとして,大きく異なったものへと変貌を遂げていくことになり、エアロビクスとエアロビックが二極化することとなります。

エアロビックは、1994年に国際体操連盟の一競技として位置づけられ,持久力を審査するエクササイズ形式の予選の撤廃やエアロビクスの代名詞ともいえるステップは7つに制限される反面アクロバティック・エレメントが実施可能となるようルール改正が行われ、「芸術点」「実施点」「難度点」の3つの観点から審査されるようになりました。

大きなアリーナフロアで競技時間も数時間かけて行うサバイバル的な競技から10メートル四方(年齢によっては7メートル)のエリアの中で1分20秒程度の演技時間と大幅に変更が加えられ、個人、ミックスペア、トリオ、5人による団体などのカテゴリーごとに実施される体操競技やフィギュアスケート等のようなスポーツとなりました。

参考までにJAF(日本エアロビック連盟)のジュニア部門での審査内容を掲載します。
演技は8カウント×17の中で指定されたエレメントに創作を加えて実施し、加点減点しながら審査を行います。

Aグループ●は指定●プッシュ・アップ
●ウエンソン・プッシュ・アップ
Bグループ○のうち2つ選択〇ストラドル・サポート
〇L-サポート
Cグループ〇のうち2つを選択〇エアー・ターン
〇タック・ジャンプ または ターン・タック・ジャンプ
〇コサック・ジャンプ
Dグループ〇のうち1つを選択
●は指定
●バーティカル・スプリット
〇1/1ターン
〇2/1ターン

今ではさまざまな大会、団体等があり、それぞれの歴史の中で「エアロビクス」と「エアロビック」といった用語が混在して使われていますが、最終的には時間をかけて行う健康を主目的としたエクササイズか芸術性や難易度を求めるスポーツかで区分できると思います。

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