エアロビクスは、音楽に合わせて、主に足の動きであるステップを踏みながら行う有酸素性運動の代表的な運動です。
1968年アメリカの運動生理学者の ケネス・クーパーが「エアロビクス」という著書を発表してから世界的に広まり、日本でも80年代にアカデミー賞女優ジェーン・フォンダが出したエアロビクスビデオの大ヒットし、また、スポーツクラブの進展に伴って広く普及しました。
時代とともに様々なダンスのエッセンスを取り入れてバリエーションも増えてきていますが、基本的にはスタジオの中で低~中等度の全身運動を長時間(20分以上)行うもので、安全性が高く、年齢・性別に関係なく万人に適した運動といわれています。
エアロビクスとは
エアロビクスの特徴としては、年齢に関係なく始められ、心臓への負担が少なく、消費カロリーが高いなどがあげられます。
継続していくと体脂肪の低下やダイエット効果はもとより、コレステロールや中性脂肪などの血液成分に変化が生じるため、生活習慣病の予防などの効果も期待できます。
そして、スタジオ等である一定の人数でのレッスンが主となりますので、同じ目的を持った人たちと知り合えて刺激しあえる。また、違う世代の人との交流もできますので、体調や健康面の好転に加え、目的を持った日々を過ごせストレス解消と気分が若々しくなれるといったメリットがあります。
では最初に、エアロビクスをはじめとする有酸素性運動の特徴や身体にもたらす効果を解説していきます。
有酸素性運動と無酸素性運動
私たちの日常生活やエアロビクスなどの運動は、筋肉の収縮による身体活動が基本となっています。
その筋肉の収縮は、酸素を使わずに行われる「無酸素性エネルギー代謝」と酸素を使って行われる「有酸素性エネルギー代謝」から得られるエネルギーを基に収縮が行われます。
無酸素性エネルギー代謝によりエネルギー供給を行う運動を「無酸素性運動(アネロビクス)」と言い、有酸素性エネルギー代謝によりエネルギー供給を行う運動を「有酸素性運動(エアロビクス)」と言います。
サッカーやテニス、バレーボールなど殆どのスポーツは有酸素性運動と無酸素性運動の混合により成り立っていますが、それぞれの運動の代表的な例を強いてあげると、有酸素性運動では、エアロビクスやウォーキング、ランニングなどがあげられ、また、無酸素性運動では、重量挙げや砲丸投げ、短距離走などがあげられます。
有酸素性運動のエネルギー源
私たちの身体活動や運動の基本となる筋肉の収縮は、ATP(アデノシン三リン酸)がADP(アデノシン二リン酸)に分解される際に発生するエネルギーを利用しています。
このATPという物質は、たんぱく質や脂肪、糖質を体内で代謝させて合成されますが、筋肉がATPを貯蔵できる量は、数秒程度の筋活動に対応するだけと限界があるため、常に体内ではATPが合成され、使われ、そしてまた合成するという循環が生じています。
エアロビクスやウォーキング、ランニングなど3分を超える運動や低~中等度の身体活動は、糖質(グリコーゲン)や脂質を酸素で分解する有酸素性エネルギー代謝によって合成されるATPによって賄われています。体内のATPの量には限りがありますのでこれらの合成は、様々なホルモンの働きにより無制限に近い形で継続されます。
無酸素性運動のエネルギー源
今度は逆に極めて瞬時に高パワーで行われる運動場面、例えば、サッカーのシュートやテニスのサーブ、砲丸投げ等は、クレアチンリン酸を無酸素性エネルギー代謝であるクレアチンリン酸系(ATP-CP系)によって合成されたATPによって賄われています。
また、強度の高い場面を持続する運動、短距離走や重量挙げ等は、血糖やグリコーゲン等の糖質を無酸素性エネルギー代謝である解糖系(乳酸系)によって合成されたATPによって賄われています。
クレアチンリン酸系(ATP-CP系)ATPでは10秒程度の運動が可能で、解糖系(乳酸系)では45~90秒間の運動の持続が可能であると言われています。
つまり、瞬時に高パワーが要求される砲丸投げ等のパワー競技はリン酸系のエネルギー(ATP)により、30秒~1分間ほど継続する競技や短距離走等はリン酸系と乳酸系のエネルギー(ATP)により、そして、90秒から3分間ほど継続する競技や中距離走や体操等は乳酸系と有酸素性エネルギー代謝によるエネルギー(ATP)によって賄われていることになります。
そして3分を超えるエアロビクスやウォーキング、ランニングなどは糖質(グリコーゲン)や脂質を酸素で分解する有酸素性エネルギー代謝に賄われています。
このことからもエアロビクスなどの有酸素性運動は、瞬発的な無酸素性運動よりも体内の糖質(グリコーゲン)や脂質の消費が期待できるとされています。
エネルギーの源、ATP人間が生命を維持し、活動していくためには、食事をして、エネルギーに変えて筋肉を動かしていかなければなりません。筋肉の収縮に使用されるエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)の分解によって得られています。ATP[…]
運動と筋肉
筋肉は重力や負荷などがかからない(つまり運動をしない)状態が継続したり、加齢によってその量は減少しますが、逆に十分な負荷がかかると肥大する特徴があります。
筋肉は高パワーで早く収縮するが疲れやすい速筋線維と低パワーでも長時間に渡り持続的に力を出せる遅筋線維に大別されます。
ウエイトトレーニングのように強度の高い無酸素性運動では速筋線維が著しく肥大するため筋肉の量は増加しますが、運動不足や加齢によってその量は急激に萎縮します。
一方、エアロビクスやウォーキング、ランニングなど有酸素性運動でもある程度筋肉への負荷が高ければ筋肉の量は増加しますが、無酸素性運動ほど筋肉の量が増加するものではありません。
このことからエアロビクス等の有酸素性運動を存分にやっても筋肉ムキムキになる心配はないと言えますし、逆にもっと筋肉をつけたいのであれば、無酸素性運動でのトレーニングも取り入れて行わないといけないことになります。
運動と脂肪
有酸素性運動は、前記のようにエネルギー源として糖質や脂質を体内で代謝させるため脂肪を減らす=ダイエットに効果的であるといわれていますし、また、内臓の脂肪を燃焼・代謝させる効果もあるといわれています。
このことからダイエットを考えてみた場合、まずエアロビクスやウォーキング、ランニングなどの有酸素性運動が注目されます。
一方では、重量当たりのエネルギー代謝をみると心臓、腎臓や脳などの内臓(除脂肪組織)が高く、筋肉や脂肪やそれほど高くありませんので、有酸素性運動を行うとまずは脂肪以外の部分からから燃焼されることになります。
そして脂肪組織の燃焼が始まり、脂肪の減少となるわけですが、心臓、腎臓や脳などの内臓の除脂肪量が減少しすぎていると、安静時でのエネルギー消費量は減少するとともに、身体は防衛機能が働き、エネルギーの浪費を防ぐようにエネルギーを貯めやすい、太りやすい身体になってしまう面もあります。
組織・器官 | 重量(kg) | エネルギー代謝量 | 比率 | ||
/1日 | /1kg | ||||
細胞組織 | 脂肪組織 | 15 | 70 | 4.5 | 4 |
除細胞組織 | 筋肉 | 28 | 370 | 13 | 22 |
肝臓 | 1.8 | 360 | 200 | 21 | |
脳 | 1.4 | 340 | 240 | 20 | |
心臓 | 0.33 | 145 | 440 | 9 | |
腎臓 | 0.31 | 137 | 440 | 8 | |
その他 | 23.16 | 277 | 12 | 16 | |
全身 | 70 | 1700 | 24 | 100 | |
※組織・器官のエネルギー代謝量と全体に占める割合(Elia.1992から作成) |
一方、ウエイトトレーニングのように瞬発的に強度の高い無酸素性運動は脂肪をエネルギー源として利用しないため、体内の脂肪の減少は多くは期待できないといわれています。
しかしながら、無酸素性運動であっても休憩などをはさみ、トレーニングの量を多く確保した場合には、練習の合間や運動後に有酸素性エネルギー代謝が高まり、脂肪の燃焼は促進されると言われています。
併せて、筋肉の量の増加は、安静時でのエネルギー消費量を増加させ、脂肪の燃焼に貢献している面もあります。
このようなことから脂肪を減らす=ダイエットの面においても筋肉の増加によるエネルギー代謝も重要視されるようになり、エアロビクスやウォーキング、ランニング等の有酸素性運動での脂肪の消費と併せて、ダンベル等を利用した適度なウエイトトレーニングで筋肉量を増加させて脂肪を減らしていく方法が多く取られています。
また、現在ではウエイトトレーニングを先に実施し、中性脂肪の分解が十分に進んだ状態で有酸素性運動を行なった方がより効果的に体脂肪を燃焼させることができるとの見解が有力となっています。
運動と心肺機能
心臓や肺の機能は、運動の強度や酸素の利用の有無によって左右されます。
一般的にエアロビクスやウォーキング、ランニング等の有酸素性運動を長期間続けると平常時の心拍数の低下や息切れの遅延等心肺機能を高めると言われています。
このことは、有酸素性運動が呼吸器・循環器を絶えず刺激し、全身に豊富な酸素や血液を循環させる全身性の運動であるという特長によるものだと言われています。
エアロビクスは、脂肪燃焼からくるダイエット効果や心肺機能の向上を身体にもたらし、肉体的・精神的な若々しさも手に入れられ、ストレス解消にもつながるといったエクササイズの特長に加え、時代を反映した音楽やファッション性、様々な文化・ダンスを吸収して変化していく柔軟性から今でも男女年代を問わず広く愛されています。
エアロビクス!その前に
エアロビクスの特長や効果などが分かったところで、早速スタジオでのレッスン!と心がはやりますが、日々の生活の中で、実際の年齢よりも老けて見られる!とか、階段の上り下りだけで息切れしてしまう!体に締りがなくなった!という方も多いはず!
エアロビクスやエクササイズ、ダイエット、エステを始める前にもう一度ライフスタイルを見直すことから始めてみませんか!
睡眠は充分とっていますか?
ストレス社会の現代では、忙しくて十分な睡眠時間が取れないという方や睡眠時間は取れるけど寝ようにも眠れないという方も多いと思います。
睡眠時間が短いというのは体のコントロール機能の維持という観点から問題です。
人によって差はあると思いますが、6~8時間の睡眠時間は確保したいものです。
ゆっくりと入浴、ストレッチやアロマテラピーなどで心身ともにリフレッシュして、充分な睡眠を心がけましょう!
また、時間だけでなく毎朝スッキリと目覚められるような睡眠の質にも注意してください。
朝食を摂っていますか?
夜型社会の現代では、自然と夕食の時間が遅くなり、自ずと朝食を抜いてしまうという方も多いと思います。
また、「ダイエット!」といって食事の回数を減らす方も多いと思います。
午後10時以降の食事は、皮下脂肪の原因ですし、食事の間隔が長くなればなるほど体の吸収力は増していきます。
つまり、夜遅いヘビーな夕食(夜食?)→睡眠→昼食は肥満の第一歩と言っても差し支えありません。
また、朝食を抜くと疲れやすい、太りやすい、集中力が続かないなどといったことが指摘されていますし、さらには生活習慣病の引き金のひとつになっていることが指摘されています。
1日3食の生活リズムを守り、日々の活動前の朝食を中心にした食生活に改善してみましょう!
お酒はほどほどに!
「酒は百薬の長」とも言われていますので、飲酒も一理あるところです。赤ワインに含まれるポリフェノールが話題となったのも記憶に新しいところです。
適度な飲酒はストレス解消や血行促進や食欲増進などの効果が認められているところでありますが、過度の飲酒は、やはり、カロリーオーバー、肝臓の機能の障害につながることが多いようです。
決して飲まれることがないようほどほどに楽しんでください!
タバコは×!
タバコについては、多くマイナス効果が言われていますので、敢えてここでいう必要はないかと思いますので省略しますが、がんの発症だけでなく、血管の収縮による血圧の上昇、血液の粘度の上昇、動脈硬化の進行、心臓への負担の増大などが挙げられます。
お酒と違い「百害あって一利なし」です。
良く笑う!
「笑うかどには福来る!」です。
「笑い」が、医学的にもがんやウイルスを死滅させるNK細胞を活性化させ、免疫力システムのバランスを整えるといった免疫力の面から、脳の血流をふやし、頭をリラックスさせるといった脳の活性化といった面からも大きな効果があることがわかってきています。
人生大いに楽しみ、大いに笑いましょう!
精神的、肉体的にも充実した日々を送れてこそ、エアロビクスやエクササイズなどの効果も出てきます。エアロビクス!と思い立ったが吉日、是非ライフスタイルの見直しも行ってみませんか。
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