厚生労働省は、2006年2月に「健やか親子21」推進検討会が「妊産婦のための食生活指針」を発表しました。妊娠中の体重増加に係る主な内容は下記の通りです。
若い女性の体格
20歳代及び30歳代の女性は低体重(やせ)の者の割合が増加し、20歳代女性では、4人に1人が、30歳女性では7人に1人が「やせ」となりました。
なお、肥満の割合は横ばい状態。
区分 | 1983年 | 1993年 | 2003年 | |
低体重(BMI<18.5) | 20歳代 | 14.60% | 17.10% | 23.40% |
30歳代 | 7.80% | 8.60% | 14.70% | |
肥 満(BMI≧25.0) | 20歳代 | 8.70% | 6.80% | 8.10% |
30歳代 | 13.50% | 12.00% | 12.60% |
また、ダイエットしている者の割合は50パーセントを超え、現在の体型が「普通」であっても50パーセント以上の者が体重を減らそうとしており、特に、現在の体型が「低体重(やせ)」であっても、10パーセント以上の者が体重を減らそうとしています。
区分 | 肥満 | 普通 | 低体重 |
15~19歳 | 88.20% | 68.60% | 41.00% |
20歳代 | 87.50% | 63.80% | 17.50% |
30歳代 | 85.30% | 55.40% | 13.00% |
妊娠中の体重増加は望ましい量に!
近年、低出生体重児の割合は増加傾向にあります。1993年(平成5年)には6.8パーセントだった低出生体重児の出生割合は、2003年(平成16年)には9.4パーセントと増加しています。
この背景としては、妊娠中の体重の増加の抑制が関与している可能性も考えらます。
低出生体重児は、成人後に糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症しやすいという報告もあります。
また、非妊娠時の体型や妊娠中の体重増加量によって、出生児の体重、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、帝王切開、分娩時出血等に相違がみられ、妊娠全期間を通しての推奨体重増加量は下記のとおりです。
区分 | 推奨体重増加量 | 1週間当たり |
低体重(やせ):BMI18.5未満 | 9~12kg | 0.3~0.5kg |
普 通:BMI18.5以上25.0未満 | 7~12kg | 0.3~0.5kg |
肥 満:BMI25.0以上 | 5kg(個別対応) | 個別対応 |
過度のダイエットには充分な注意を!
ダイエットによって体重を減少させると体脂肪率が減少します。
体脂肪率と卵巣機能とは密接な関係にあり、体脂肪率の減少は、間脳下垂体系の働きを抑制し、月経不順、無月経などの卵巣機能不全を起こす。重度の無月経となった場合には、卵巣機能の回復が困難なこともあるので、過度のダイエットには注意が必要です。
また、卵巣機能不全は、骨にカルシウムを沈着させる作用を持つエストロゲンの分泌低下を起こし、骨密度の低下を招きます。
骨形成は思春期の間に40~60%完成してしまうので、将来的に骨粗しょう症予防の観点からも過度のダイエットは充分な注意が必要です。