マラソンを走るたび、「本当に42.195kmあるのかな?」って思ったことはありませんか? 実は、私たちが走るマラソンコースの距離は、想像以上に厳密で正確に測られているんです。特に、世界記録が生まれるような国際大会のコースは、世界陸上競技連盟(World Athletics)の厳しいルールに基づいて測られた「公認コース」であることが必須。
じゃあ、一体どうやって、あの長いコースの距離を測っているんでしょうか? その秘密に迫ります!

最も正確な計測法!「ジョーンズカウンター」を装着した自転車が決め手
マラソンコースの距離を測る上で、最も信頼され、広く使われているのが**「自転車計測法」**です。ただのサイクリングじゃない、めちゃくちゃ緻密な作業なんですよ。
- 秘密兵器「ジョーンズカウンター」:
正確に校正された自転車の車輪には、「ジョーンズカウンター」という特殊なカウンターが取り付けられています。これは、自転車が進むたびにカチカチと音を立てながら、その距離を精密に記録していく優れもの。 - 徹底的なキャリブレーション:
いきなりコースを測るわけではありません。まず、平坦でまっすぐな500mや1000mの「基準区間」を自転車で何度も往復し、ジョーンズカウンターが示す数値と実際の距離がぴったり合うように精密に調整します。気温やタイヤの空気圧まで考慮に入れる徹底ぶり! - 「最短走行距離(TSR)」をトレース!:
調整が終わったら、いよいよコース計測です。計測は、**「最短走行距離(TSR: Tangent Shortest Route)」**と呼ばれる、ランナーが実際に走るであろう一番短いラインに沿って行われます。- 基本的な考え方: 道路の端(歩道や縁石)から車道側に約30cmのラインを計測します。ランナーが端っこギリギリではなく、少し内側を走ることを想定しているんですね。
- カーブの走り方:
- 左カーブ: カーブの内側(歩道側)の端から30cmのラインをなぞります。
- 右カーブ: 中央線がある場合は、中央線から30cm内側(カーブの内側)のラインを。中央線がなければ、道路の幅を考慮して、一番内側の短いラインから30cmの地点を走ります。
- S字カーブ: S字の角を切り詰めるように、可能な限り最短となるラインを計測します。
- このように、道路の真ん中を測るのではなく、常にランナーが最短で効率よく走れるラインを想定して計測が進められます。もし真ん中を測ってしまったら、カーブで距離が大きくずれてしまいますからね!
- 複数回計測で誤差をなくす:
この自転車計測は、通常3回以上行われ、その平均値がコースの距離として採用されます。これによって、わずかな誤差も極力排除されるんです。
他の計測方法は補助的に使われる!
ジョーンズカウンターを使った自転車計測が本命ですが、他にもいくつかの計測方法があります。これらは、主に補助的な役割を果たします。
- GPS(Global Positioning System):
ランニングウォッチなどでおなじみのGPSも距離計測に使えますが、ビル街やトンネル、森林などでは精度が落ちることがあります。そのため、あくまで「参考」や「トレーニング時の目安」として使われます。 - マップ計測 / 地図情報システム (GIS):
高精度の地図データを使って、コースの距離を割り出す方法です。コースを計画する初期段階や、大まかな距離を把握するのに便利ですが、実際の道路の起伏や細かいカーブまでは正確に反映できないため、最終的な公認計測にはやはり現地での実測が欠かせません。 - 巻き尺による計測 (Steel Tape Measure):
これは非常に正確な方法ですが、マラソンコース全体を巻き尺で測るのは現実的ではありません。主に、ジョーンズカウンターの校正時や、スタートラインから最初の曲がり角までなど、ごく短い区間の精密な計測に使われます。金属製の巻き尺は温度で伸び縮みするので、そこも計算に入れます!
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「公認コース」は信頼の証!
マラソン大会のコースが「公認コース」として認められるには、世界陸上競技連盟が定める厳しい要件を満たす必要があります。
- プロの計測員: 専門的な訓練を受けた「国際公認計測員」が、ジョーンズカウンターの使い方からTSRの判断まで、全てを熟知した上で計測を行います。
- 独立した計測: 大会の主催者から独立した立場の計測員が担当することで、公平性が保たれます。
- 公認証明書の発行: すべての計測が完了すると、そのコースが正式な距離であることの証明書が発行され、世界中のランナーが安心して記録を狙えるようになるんです。
まとめ:記録は「正確な距離」から生まれる!
マラソンコースの距離計測は、単に長さを測るだけではありません。ランナーがフェアに競い合い、努力の証である記録が正確に認められるための、とても大切なプロセスなんです。特に国際的な大会では、ご紹介した**「ジョーンズカウンターを使った自転車計測法」**が不可欠。
私たちが走るコースの裏には、こうした緻密な努力があることを知ると、またひとつマラソンが面白くなりそうですね!
あなたの街のマラソンコースも、もしかしたらこの方法で測られているかもしれませんよ!